入れ歯で悩む方の特徴
「入れ歯がはずれる!合わない! 痛い! かめない! なんとかならないか?」
当院には、毎日のように『入れ歯の悩み』に苦しむ患者さんが来院されます。
このような患者さんのお話に耳を傾けてみますと、幾つかの共通点がある事に気づきます。
共通点1
日本では、医療に対する健康保険制度がきちんと整備されています。
そのために、鹿児島の皆さんはあまり歯の健康のことについては真剣に考えていなかった様に思えます。
痛くなったら保険証を持って鹿児島の歯科医院に飛び込んで、なにがしかの治療をしてもらい、痛みがなくなったら、歯のことはまた自然に忘れてしまう。
ほったらかしにし、また歯が痛くなった時に、あわてて歯医者さんに駆け込むということばかり繰り返していました。
長いあいだこんなことばかりを繰り返し、自分のお口の中で噛み易いところを探してそこばかりで噛んでいるという状態を繰り返し、
或る時、抜歯をして、入れ歯にしなくてはならなくなりました。
でも、入れ歯ではちゃんと噛めないんです。
次第に抜かなくてはならない歯も増えて、入れ歯もどんどん大きくなってきました。
鹿児島中の歯医者さんも何件廻ったことか・・・・・・・。
それでも『どうしても噛めない・・・・』のです。
このような状態で、入れ歯を作ろうとしても、口の中の環境が入れ歯を作るのに適切な状態になっていないことの方が多いのです。
噛み癖・下顎の位置の異常等があり、そのままでは歯医者さんがいくら頑張っても満足出来る入れ歯にはなりません。
これらの状態を最適な状態に改善するのに、1ヵ月から3か月程度かかる場合もしばしば見受けられます。
共通点2
当地鹿児島は比較的歯に関心の薄い方が多いように思われます。
特に、鹿児島の郡部や、鹿児島県の離島では、歯科医院が少ないという事もその理由の一つかもしれません。
『歯の事は良く分からない。歯医者に行って口を開ければ、後は歯医者がなんとかしてくれるだろう。』
と、とんでもない『安易なイメージ』や『甘い期待』を持っており、歯の治療は歯医者だけが行うものであるという思い違いをしている。
確かに、 ここ10年ほどの“入れ歯”の技術革新には目を見張るものがあります。以前はほとんど不可能だと考えられていた“入れ歯”をつくることが可能になりました。
しかし、この新技術を使った入れ歯を手に入れて、自分だけが勝手にあれこれ試しても、結局期待したほどの効果はなかったということの方が多いでしょう。
また、歯医者が一人奮闘しただけでは良い入れ歯は出来上がりません。
なぜでしょう?
それは、”入れ歯”があなたと歯医者が二人三脚で作り出す、人体の欠損した部分を補うための精密で敏感な
『人工臓器』
だからです。
それは、大空を飛ぶ飛行機と同じことです。
パイロットだけでは飛行機は安全に飛びません。
鹿児島空港を考えてみましょう。
飛行機の整備士、客室乗務員、空港での誘導係、給油係や、手荷物係、管制官、機内食などを扱う各種会社の方々など、どれ一つ欠けても快適な飛行を実現させることはできないのです。
同じことが入れ歯作りにもいえます。
患者さんの、お口の中状態を的確に判断し、前処置を施し、型を取る歯科医師、入れ歯の材料を提供する会社の皆さん、採った型から石膏模型を作製する歯科技工士などいろんな職種の人が関わります。鹿児島では、歯科医院内に技工室を持っているところと、専門の技工所に依頼する場合があります。
加えていろんな作業が必要になります。
①歯科医師は上下の噛みあわせを的確に採得する。
②これに従って歯科技工士が入れ歯を作製する。
③出来上がった入れ歯を歯科医師が患者さんの要望を聞きながら調整する。
④調整後の噛み具合の再調整
⑤入れ歯の定期検診
などのステップの作業ひとつが欠けても、”入れ歯”は快適に機能してくれません。
現在、入れ歯に不満をお持ちの皆さんは、良く考えてみて下さい。
今の入れ歯を作った時に、これらのステップのどれかが欠けていませんでしたか?
確かに『入れ歯』は歯医者さんが作ります。
この入れ歯を使うあなたは飛行機で言えば『パイロット』です。
パイロットの協力や努力がなければ飛行機はまともに飛ぶことはありません。
患者さんの積極的な協力なしには、まともな入れ歯は作れないのです。
また、噛み方も入れ歯に合わせた適切な噛み方を学んで頂かないと、入れ歯はその真の機能を発揮できません。
共通点3
いつ作製したか思い出せないような入れ歯を、市販の入れ歯安定剤を使用しながら、長期間に渡って使用してきた。
歯医者さんが嫌いなのでしょうか? (もっとも、好きな方もおられないでしょうが)
おられるんですね、このような方が。
良く合っていない入れ歯のために口元はしわだらけで、実際よりもかなり老けて見えます(老人様顔貌)。
まともに噛むことさえままならず、人と会ったり、外出するのが嫌いで、
「私の人生はもう長くない!」
という後ろ向きな気持ちで暮らしておられるのでしょうか。
「どうせ先が短いのだから、入れ歯なんか適当でいい!」
と考え、いつ作製したのか検討もつかないような古い入れ歯で、口のどこかがこすれて痛くなった時だけ来院し、入れ歯の調整を一度したら、後はもう姿を見せません。
このような患者さんは、歯科医師に積極的に協力してゆく事で、以外と良い入れ歯が早期に作製できたりするものです。
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